Welcome to アメリカ

#5 世界を回すのは、時には自分自身だ

月曜早朝。

ネット会社のオペレーターにまた始めから事情を話す。

引き継ぎなんて行われていないからだ。

イライラしたこと、悲しかったこと、ショックだったこと、裏切られたこと。

全ての感情を吐き出す。

「そんなことがあったんですか、大変でしたね、お気持ちとても分かります」

そこで気づく。

これは、一種のカウンセリングではないだろうか。

月曜早朝、営業時間と同時に騒々しく電話をならす客は、私のように怒りの沸点に到達しているに違いない。

カウンセリングで、まずは客の心を落ち着かせる必要があるのだ。

アメリカはカウンセリング大国だ。

しばらくオペレーターからカウンセリングもどきを受ける私。

そこで告げられた事実。

「業者はあなたの家に行きました」

「はあ?」

もう何を言われても過去と現在の話が噛み合わない。

昔の夫のようだ(遠い目)

なぜいまだに「業者が家に来るのか来ないか」で揉めなければいけないのだろうか。

「いいえ、誰も来ていません」ため息を吐くように元気なく答える私。

「行きました。うちの業者は、あなたの家の近くに設置してあるボックスに作業しに行ったのです」

ありえそうな事実だが、これまでの経験から、この人を信じて良い根拠は一体どこにあるのだろうか。

「それで作業はどうなったんですか…?」

恐る恐る続きを問う。

「作業に失敗しました」

「はあ?↓」

「あなたの家は、うちの会社からネット接続を受けられるエリア内ではありません」

「はああ?→」

「サービス提供エリア外です」

「はあああ?↑」

さっきから「はあ?」しか言っていないが、強弱も力の込める箇所も意味合いも違う。

「なぜ、今!、それを、言うの、ですか?」

呆れすぎてろれつが回らない。

この一週間、予約から今日まで6人のオペレーターと話したりメールのやり取りをした。

もちろん私達の住所も知っている。

なのに、なぜ誰一人、自分の会社のサービス提供エリアすらを知らないのであろうか。

なぜサービス提供エリア外の客の予約を進めてしまい、サービス提供エリア外まで従業員を派遣してしまい、

サービス提供エリア外までその従業員は疑わずに、車を走らせて来てしまったのであろうか。

無駄足すぎるではないか、お互い。

「申し訳ありません」

初めての謝罪の言葉。

「違うサービスをご紹介します」

切り替えが早いオペレーター。

「見つかりました。予約状況を確認してみますね」

「はい…」

「2週間後です」

「Unacceptable!!」(受け入れられない!!)

便器のふたに座っていた夫が、突然叫んだ。

そう、私たちはネットはおろか、電話さえもこの2階のトイレからしか繋がらないのだ。

森の中で暮すということは、こういうことなのだ。

🐏

アメリカの適当さにあまりにも驚いているフォロワーさんから質問があった。

「アメリカの人達は、こういう時どう感じるのでしょうか?」

夫に聞いてみた。

「困っている」

🐏

夫は今日も早朝からスタバに仕事をしに行った。

ちなみに店内はコロナの影響で閉まっているので、

ドライブスルーでコーヒーを買い、そのまま駐車場でカタカタしているそうだ。

「スタバはネットが早いねー。仕事がはかどるよ~、お昼はマックでダブルバーガーセット食べちゃったっ」

困っている夫は私から見ると、切り替えがものすごく早い。

ぬかるみにハマらずに、ずんずん前進している。

その足跡に自分の足を重ね、慎重に後を付いていく私。

夫の後は歩きやすい。

でもね、

進むのも進まないのも自分次第。

助けを得るか得ないかも自分次第。

世界を回すのは、時には自分自身だ。