ワインを味わう。
ことができるようになったのは、夫と付き合い始めてからだ。
チーズといったら6Pチーズしか馴染みがないく、
生ハムはオサレすぎて、たぶん買ったことさえなかった私。
好きなお酒は焼酎の梅干し割り。
🍷
独身時代、押上に住んでいた。
現在、東京スカイツリーがある地域だ。
当時はご立派なタワーができるとも知らずに、
庶民的な値段で静かな下町を気に入り、
隠れ家のようにひっそりと住んでいた。
夫婦関係がうまくいっていない時期、
夫と暮らすのが耐えられずひとり帰国したことがある。
ひとりで訪れた東京スカイツリー。
ひとりで登り、いろんな想いを抱えて東京を見下ろしていた。
泣いていたと思う。
次はふたりで登りたいな。
🍷
押上から自転車でふらっと浅草に移動すると、
北海道のおいしい食べ物が集まるスーパーがあった。
そこでよく北海道の焼酎を買っていた。
昆布焼酎が好きだった。
今調べたらお店の名前は「まるごと北海道物産本舗 雷門店 」らしい。
もう十数年足を踏み入れていないけれど、
たぶん今でもおすすめです。
浅草と北海道好きなら是非。
🍷
話はアメリカに戻る。
夫と出会った地はサンフランシスコ。
数々のワイナリーに囲まれているこの街は、
皆ワインを上品に飲みこなしている。
夫はワインについて毎回丁寧に細かく教えてくれた。
ワインの歴史だか製造方法だか種類だか銘柄だか、
結局私は今でもよく分からないが、
苦くて不味いとしか感じなかった赤ワインが、
だんだん好きになってきた。
肉には赤、魚には白。
この違いを舌が分かれば十分だ。
夫のデキャンタを花瓶だと勘違いし花を差し込んでいたあの頃から、
私は一皮剥けた。
ちなみにこの写真に写っているワインは、
$10以下の庶民的な値段。
マイルドで飲みやすいのでこれもおすすめ。
🍷
ここから本題に入る。
この銅製ワイングラスの荒れ模様を見ていただきたい。
忘れっぽい夫がうっかり食洗機に入れてしまったのだ(悲)
手洗いのみって言ったじゃん(泣)
美しい光沢が魅力だった銅。
見事につるっパゲた。
今まで、うっかり落としちゃって数々のグラスを割ってきた夫。
だから安定している形の、割れない銅を選んだのに…
ちょっと高かったんでねー
ペアを諦めてひとつしか買わなかったんですよおお
プラスチック製もあったんですけどねええ
ワインを注ぐにはちょっと寂しいかなってえええ
奮発したんですよおおお!!
ちょっと早いクリスマスプレゼントだったんですけどね…
🍷
北海道のフォロワーさんが教えてくれた言葉を思い出す。
北海道のキャッチフレーズは「試される大地」だそうだ。
うううむ…
私は心の器を試されている。
「銅と旦那さん、どちらが大事なのかしら?」
昆布からぬめりある質問がなびく。
そんなの旦那に決まってんだろっ!
即答する私のワイングラスは、もう空だった。
しかし私の心は、ワインレッドに染まっている。
夫への愛情だ。
こんなことを書き走る私は、酔い始めているのであろうか。
北海道昆布が何事もなかったように、
ゆらゆらと揺らめいている。